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お酒の知識

2018/12/18

バーボン(アメリカン)ウイスキーとは?おすすめ銘柄や飲み方

BAR岩田のウイスキー千夜一夜

初心者のためのBARノウハウ「BAR虎の巻」

岩田 智

提供:岩田 智

小学校時代のあだ名は「バーボン」でした。三宮・北野のオーセンティックBar「Bar岩田」のマスター。

バーボンウイスキーはハードルが高いというイメージを持たれている人も多いと思います。でも実は日本でもお馴染みの銘柄が多く、とても手軽に楽しむことが出来るウイスキーです。バーボンウイスキーは有名なウイスキーではあるけれど、意外と詳しく知られていないウイスキーでもあります。

この記事では、現役バーテンダーがバーボンウイスキーの由来や歴史を紹介していきます。
また、おすすめのバーボンウイスキーの紹介や、バーボンウイスキーとスコッチウイスキーの違いについても分かりやすく解説していきます。

その他にも、「ストレート」や「オン・ザ・ロック」など、現役バーテンダーがオススメするバーボン飲み方も紹介するので、自宅で飲む時やバーで注文するときの参考にしてください。

バーボンウイスキーとは?

バーボンウイスキーはアメリカのケンタッキー州周辺で作られる「アメリカン・ウイスキー」の一種です。
原料にトウモロコシを多く使用し、少し赤みがかかった色をしているのが特徴です。ケンタッキー州はバーボンウイスキーの生産量がとても多く、たくさんの蒸留所があります。ケンタッキー州は寒暖差が大きい地域なので熟成が早く進み、ウイスキー製造に適しているのが、ケンタッキー州に蒸留所が集中する理由のひとつです。

バーボンウイスキーを名乗るには以下の条件があり、これらは「連邦アルコール法」により定義されています。

  • 原料にトウモロコシを51%以上使用する事
  • アルコール度数80度以下で蒸留する事
  • 内側を焦がしたホワイトオークの新樽にアルコール度数62.5度以下で樽詰めする事

この条件を満たし、2年以上熟成させた物を「ストレートバーボンウイスキー」と呼びます。

樽の内側を焦がすことで香ばしい香りが付き、焦がしていない樽よりも早く熟成させる事が出来るのも、バーボンウイスキーの特徴です。

「バーボン」の意味

バーボンウイスキーのバーボンは、バーボンウイスキーが生まれた地であるケンタッキー州バーボン郡のバーボンの事です。バーボンを英語で「Bourbon」と書くのですが、これはフランス語読みで「ブルボン」と読みます。

バーボン郡のはじまりは、アメリカ独立戦争時代にアメリカ独立派とイギリスが闘うなか、イギリスと対立していたフランスがアメリカ独立派を支援しました。アメリカが独立後、フランスの支援に対する感謝の意味を込めて、フランスを象徴するルイ王朝ブルボン家の名をケンタッキー州の地名に残しました。これがバーボン郡の始まりです。

バーボンの歴史

バーボンを初めて作ったのは、アメリカの「エライジャ・クレイグ」という牧師です。若い頃のグレイグは型にはまらない牧師で、時に過激な発言をすることもありましたが、実業家の一面もあり、その腕前はかなりの物で実業家としても名を馳せた人物でもあります。そんなグレイグが副業として始めたのが「ウイスキーの製造」で、ケンタッキー州に1789年に蒸留所を建てました。

ケンタッキー州の特産品であるトウモロコシを使用し、ウイスキーの製造を研究していたグレイグは、ある日うっかり樽の内側を焦がしてしまったのですが、その事に気付かずウイスキーを樽詰めしてしまいます。
数年後、その樽を開封してみると、他の樽で作ったウイスキーとは異なり、赤みがかって香りの高く、味わいも美味しいウイスキーが詰まっていました。そう、これこそがバーボンウイスキー誕生の瞬間です。

バーボンウイスキーは失敗と偶然が作り出した産物だったのです。バーボンウイスキーはまたたく間に大人気になり、その後も順調に成長を続けます。ところが、1920年〜1933年まで施行されていた「禁酒法」により一気に衰退していきましたが、現在は勢いを取り戻し、新しい蒸留所も増え始めています。

バーボンの味わいは「若くて荒々しい」

バーボンウイスキーは他のウイスキーよりも熟成期間が短いので、若々しいのが特徴です。
また、熟成に使う内側を焦がしたオーク樽からは、渋みや苦味が溶出しウイスキーに移ります。熟成を重ねることで、その渋みや苦味から深いコクが生まれ、オークの木の香りや香ばしさと合わさり力強く荒々しい味わいになります。バニラのような甘くまろやなか口当たりもバーボンウイスキーの特徴のひとつです。

「バーボン」と「スコッチ」の違い

バーボンウイスキーとスコッチウイスキーは、まったく違うウイスキーです。
バーボンとスコッチはそれぞれ作られた産地を表しています。バーボンはアメリカのケンタッキー州バーボン郡で製造され、スコッチはスコットランドで製造されています。

また、主に使われる原料もバーボンはトウモロコシなのに対し、スコッチは大麦なので全く違う味わいになります。スコッチウイスキーは種類によって強烈な個性の物があるのもバーボンと大きく違います。

「スコッチウイスキー」について詳しくはこちらの記事をお読みください。

アメリカン・ウイスキーとは?

アメリカン・ウイスキーはアメリカで製造されるウイスキーの総称で世界の5大ウイスキーの1つです。

まだアメリカが新大陸と呼ばれていた頃、ヨーロッパからウイスキーの技術を持った移民が多く移り住んできます。移り住んだ先のひとつであるヴァージニア州で、移民達がアメリカ産の穀物を原料にしたウイスキーの製造を始めます。これがアメリカン・ウイスキーの始まりとされています。

アメリカで製造されるウイスキー全てが、アメリカン・ウイスキーにはというわけではなく、

  • 穀物(トウモロコシ、ライ麦など)が原料
  • アルコール度数95度以下で蒸留
  • オークで作られた樽で熟成(コーンウイスキーは除外)
  • アルコール度数40度以上で瓶詰めする

という条件を満たしたウイスキーだけがアメリカン・ウイスキーを名乗ることができます。これらの条件は「連邦アルコール法」により定義されていて、ウイスキーの種類によって原料の種類や比率、熟成方法が更に細かく定義されています。

アメリカン・ウイスキーの種類別の詳しい特徴について、詳しくは以下をご覧ください。

バーボン・ウイスキー

バーボン・ウイスキーとは原料にトウモロコシを使用したウイスキーです。内側を焦がしたオーク樽で熟成させるので、熟成期間が他のウイスキーよりも短く、赤みがかった色と、まったりとした甘みと深いコクが特徴のウイスキーになります。

バーボンウイスキーについて、より詳しく知りたい方は以下のリンク先をご覧ください。

>>バーボンウイスキーとは?

ライ・ウイスキー

ライ・ウイスキーとは、原料にライ麦を51%以上使用し、内側を焦がしたオーク樽で熟成させたウイスキー。2年以上熟成させたものをストレートライ・ウイスキーと呼びます。ライ麦の生産が盛んに行われていたペンシルベニア州南部で、ドイツ系移民によって作られたのがライ・ウイスキーの起源です。ライ麦パンのような微かな苦味とピリッとスパイシーな味わいが特徴のウイスキーで、アメリカ国内で生産される半分以上を占めています。

ホイート・ウイスキー

ホイート・ウイスキーとは、原料に小麦(ホイート)を51%以上使用し、内側を焦がしたオーク樽で熟成させたウイスキーです。2年以上熟成させたものをストレートホイート・ウイスキーと呼びます。

モルト・ウイスキー

モルト・ウイスキーとは、原料に大麦麦芽(モルト)を51%以上使用したウイスキーです。2年以上熟成させたものをストレートモルト・ウイスキーと呼び、大麦麦芽のみを原料として作られたウイスキーをシングルモルトウイスキーと呼びます。

ライモルト・ウイスキー

ライモルト・ウイスキーとは、原料にライ麦芽(ライモルト)を51%以上使用し、内側を焦がしたオーク樽で熟成させたウイスキー。2年以上熟成させたものをストレートライモルト・ウイスキーと呼び、ライ麦芽のみを原料として作られたものはシングルライモルト・ウイスキーと呼びます。

コーン・ウイスキー

コーン・ウイスキーとは、原料にトウモロコシを80%以上使用し、内側を焦がしていない樽もしくは、古樽に樽詰めされたウイスキーです。2年以上熟成させたものをストレートコーン・ウイスキーと呼びます。バーボンと同じトウモロコシを原料としたウイスキーですが、バーボンとの最大の違いは、コーン・ウイスキーは熟成させる必要がないという所。熟成させる必要がないので、樽詰めされてから30日以内のウイスキーも多く、トウモロコシの甘みもありますがアルコールが強くさっぱりとした味わいになります。

ブレンデッド・ウイスキー

ブレンデッド・ウイスキーとは上記のストレートウイスキー(2年以上熟成させたもの)を20%以上使用し、スピリッツや他のウイスキーをブレンドしたウイスキーです。ブレンドする銘柄や配合によって様々な味わいや風味になるのが特徴。

テネシー・ウイスキー

テネシー・ウイスキーは、原料にトウモロコシを51%以上使用し、内側を焦がしたオーク樽で熟成させるなど基本的にバーボンと同じ条件なのですが、テネシー州で生産されている事と蒸留前にサトウカエデので作った木炭でゆっくりと濾過する事(チャコールメローイング製法)が義務付けられています。木炭で濾過することで味の尖りを取り除くので、まろやかな舌触りになり、ウイスキーにとろりとした甘みとほのかなスモークの香りを与えます。

現役バーテンダーが選ぶ!バーボンのおすすめ銘柄

バーボンウイスキーはバーでも人気の高いウイスキーです。バーボンと言えば、男性やウイスキー通が好むお酒というイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。

でも実は、まろやかなで甘めのウイスキーも多く、他のウイスキーよりも飲みやすい銘柄がたくさんあります。そのため、バーボンは女性やウイスキー初心者の方にもオススメです。バーボンは日本でも人気が高く、味や質が良いバーボンがスーパーなどでも手軽に手に入ります。それでは、ここからはバーボン初心者にもおすすめの銘柄を紹介していきます。

ワイルド・ターキー

  • アルコール度数:40%

七面鳥のラベルが特徴的なワイルド・ターキーは「バーボンと言えばワイルド・ターキー」と言われるほど定番のバーボンウイスキーです。アイゼンハワー大統領を始め、あのジョン・F・ケネディも愛飲していたバーボンとしても知られるワイルド・ターキーは「キングオブバーボン」と呼ばれることもあります。七面鳥狩りが趣味であった当時のオーナーが、七面鳥狩りに必ずバーボンを持参していた事が名前の由来になっています。

ワイルド・ターキーはスパイシーなバーボンを飲んでみたい人におすすめ

ワイルド・ターキーは他のバーボンよりもトウモロコシの比率が低く、大麦麦芽とライ麦のが多いのでスパイシーで香りの高いウイスキーです。使用する穀物にこだわっていることに加え、アルコール度数を抑えて蒸留するという独特な製法で作られていることもワイルド・ターキーの香りが高い理由のひとつです。

高いアルコール度数で蒸留すると穀物の香りが削がれてしまいますが、アルコール度数を抑えて蒸留することで穀物の持つ豊かな香りを最大限に生かすことができます。ワイルド・ターキーは穀物が持つ本来の香りを楽しんでみたい人におすすめのウイスキーです。

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄ワイルド・ターキー

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄

ワイルド・ターキー

スパイシーなウイスキー

ジムビーム

  • アルコール度数:40%

ローラやレオナルド・ディカプリオがCMしていた事でお馴染みのジムビームは、220年前から作られている歴史あるバーボンで、世界No.1の売り上げを誇っています。日本でも大々的なCMはもちろん、スーパーやディスカウントショップでも手軽に購入できるのも人気の理由ですね。名前のジムビームは、創業者のジェイコム・ビームに由来して名付けられました。香りが良く、飲みやすいバーボンウイスキーです。

ジムビームはウイスキーを初めて飲む人におすすめ

ジムビームはバニラのような甘い香りと焦がしたキャラメルのような香りが特徴で、バーボン特有のツンとした味わいも少なく、マイルドな甘みが残るバーボンウイスキーです。後味のキレが良いのでハイボールやロックがおすすめの飲み方です。また、ソーダだけでなく、ハーブやフルーツジュースで割って飲んでも美味しいウイスキーです。

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄ジムビーム

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄

ジムビーム

飲みやすいウイスキー

I.W.ハーパー

  • アルコール度数:40%

I.W.ハーパーは「アイダブリューハーパー」と読みます。多くの博覧会で金賞を受賞したことから「ゴールドメダル」と呼ばれることもあるウイスキーです。

I.W.ハーパーの生みの親であるアイザック・ウォルフ・バーンハイムは、質の悪いウイスキーが主流であった時代に、味と品質にこだわったウイスキー製造を始めました。そしてこだわりぬいて作られたウイスキーに彼のイニシャルであるIWと、大親友であるハーパーの名前を組み合わせ「I.Wハーパー」と名付けたのです。日本ではキリンがI.W.ハーパーを販売しているので、スーパーやコンビニエンスストアでも手軽に購入できます。

I.W.ハーパーは女性や甘いウイスキーが好きな人におすすめ

I.W.ハーパーの特徴はなんといってもバーボン特有の甘み。I.W.ハーパーはトウモロコシの比率がとても高いのが特徴です。トウモロコシの比率を高くすることで蜂蜜のような甘みを生み出しています。アルコールの主張も強すぎないので、バーボンウイスキーに苦手意識のある人や女性におすすめのウイスキーです。

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄I.W.ハーパー

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄

I.W.ハーパー

甘くて飲みやすいウイスキー

エライジャ・クレイグ

  • アルコール度数:47%

エライジャ・クレイグはバーボンの生みの親であるエライジャ・クレイグ牧師の名が付けられたウイスキー。バーボンウイスキー特有の赤みがかった色が特徴で、その色味から「レッドリカー」や「リキッドルビー」と呼ばれることもあります。

エライジャ・クレイグ牧師が作った最初のバーボンウイスキーを再現しようとして作られたウイスキーで、企画から25年の月日を経てようやく製品化しました。英国のウィスキーマガジン誌「ベスト・オブ・ザ・ベスト」にてバーボンの最高得点を2回連続で獲得している完成度の高いバーボンウイスキーです。

エライジャ・クレイグはハイボール好きな人におすすめ

エライジャ・クレイグは、シナモンのような芳醇な香りと濃厚な甘み、そして後味に焦げたような香ばしさが口に残る味わいのウイスキーです。しっかりとした骨太のバーボンウイスキーなので、ストレートやロックはもちろん、ハイボールにしても味わいが落ちることなく、幅広い飲み方で楽しめます。

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄エライジャ・クレイグ

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄

エライジャ・クレイグ

しっかりした骨太ウイスキー

オールド・クロウ

  • アルコール度数:40%

カラスのラベルが特徴的なオールド・クロウは、松田優作が愛飲していた事で有名なバーボンウイスキーです。
かつてはバーボンの売り上げトップの座をジムビームと競っていましたが、経営不振のためジムビームに買収されオールドクロウ蒸留所は閉鎖されます。現在はジムビーム傘下の蒸留所でジムビームの原酒を用いて製造されています。

バーボン製造する製法のひとつに「サワー・マッシュ方式」という製法があります。この製法は一度発酵、蒸留したもろみの残液を25%以上加え、再度発酵させるという製法なのですが、この製法を発明したのがオールド・クロウを生み出した「ジェイムズ・クロウ博士」。そしてこのオールド・クロウはサワー・マッシュ方式を用いて作られたウイスキー第一号です。

オールド・クロウはさっぱりしたウイスキーを飲みたい人におすすめ

オールド・クロウは、ライムやすだちを思わせるような爽やかで、さっぱりとした味わいが特徴のウイスキーです。バーボン特有に甘みはあまり感じられないので、甘いウイスキーが苦手な人におすすめです。

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄オールド・クロウ

バーボンウイスキーのおすすめ銘柄

オールド・クロウ

爽やかなウイスキー

ジャック・ダニエルはバーボンではない?!

ジャック・ダニエルはどこのお酒売り場にでも置いていて、日本でもよく見かけるウイスキーですよね。それもそのはず、ジャック・ダニエルはアメリカン・ウイスキーの中で最も売れている銘柄で、ブラックに至っては世界で最も売れている単一銘柄と言われるほど、人気の高いウイスキーです。

ジャック・ダニエルはバーボンウイスキーと思われがちですが、実はテネシーウイスキーに分類されます。テネシー州で製造され、サトウカエデの木炭を使用して濾過をするチャコールメローイング製法で作られたウイスキーで、この製法がジャック・ダニエルに欠かせない風味を与えてくれます。

ジャック・ダニエルはウイスキー初心者におすすめ

ジャック・ダニエルは優しい甘みが特徴のウイスキーです。その理由は原料に使われているトウモロコシの比率が80%と高いため。さらに木炭で濾過していることで尖った風味や雑味が取れ、まろやかな甘みが引き出されます。サトウカエデの木炭を使用しているので、メープルシロップのような香りがするのも特徴のひとつです。

クセが少なく、飲みやすいウイスキーということに加え購入のしやすさから、ウイスキーを飲んでみたいというウイスキー初心者におすすめのウイスキーです。

ウイスキーのおすすめ銘柄ジャック・ダニエル

ウイスキーのおすすめ銘柄

ジャック・ダニエル

クセが少なく飲みやすいウイスキー

高級「クラフトバーボン」が人気?!

現在、人気を集めている「クラフトバーボン」をご存知でしょうか?
大量生産されるウイスキーに対し、小規模で素材や製法にこだわりぬいたウイスキーの事を「クラフトバーボン」と呼びます。作り手の意図や思想が強く込められていて、高級バーボンの位置付けになります。

蒸留所によって個性が色濃く出るのも、クラフトバーボンの面白い特徴です。これまでのバーボンウイスキーの常識を覆す製法で作られたものやオーガニック素材を使用したものまで種類は様々。長年ウイスキーを愛飲してきた人もバーボンの新しい可能性をぜひ味わってみてください。

クラフトバーボンの味わいは重厚でパンチがある

クラフトバーボンは定番のバーボンよりも長期熟成されたものが多い。じっくりと熟成させることで、深いコクを生み出し、旨味を凝縮させます。若く荒々しい定番のバーボンの味わいに対し、クラフトバーボンの味わいは重厚でパンチがあるウイスキーが多い印象です。

また、長期熟成をするのでアルコール度数が高い銘柄も多く、飲みごたえのあるウイスキーです。蒸留所によって原料を2倍増しで製造しているウイスキーもあり、個性的なウイスキーも多く存在するのがクラフトバーボンの特徴です。原料や製法にこだわって作られているクラフトバーボンは、ウイスキー本来の味わいが楽しめるストレートかオン・ザ・ロックで飲むのがおすすめの飲み方です。

クラフトバーボンのオススメ銘柄

ベイカーズ

  • アルコール度数:53.5%

「ベイカーズ」は7年熟成のクラフトバーボンです。キャラメルやバニラのような穏やかな香りと優しい甘みが特徴で、アルコール度数は高いですがアルコールの刺激は少なく、深いコクが楽しめる味わい深いクラフトバーボンです。

ベイゼル ヘイデン

  • アルコール度数:40%

ベイゼル ヘイデンは8年熟成のクラフトバーボンですが、長期熟成にもかかわらずアルコール度数がそれほど高くありません。ジムビームを製造しているビーム社が製造しているのですが、原料のライ麦をジムビームの2倍以上使用しているので、ピリッとしたスパイシーな味わいが十分に楽しめるクラフトバーボンです。

メーカーズ・マーク(Maker’s Mark)

  • アルコール度数:45%

メーカーズ・マークは小栗旬がCMをしていたり、他のクラフトバーボンに比べて手に入りやすいことから、日本で1番身近なクラフトバーボンと言えます。

昔ながらの製法でハンドメイドにこだわって作られているクラフトバーボンで、瓶の赤い封蝋は手作業で行っています。原料もライ麦の代わりに冬小麦を使用していて、まろやかな甘みが特徴です。

現役バーテンダーが直伝!バーボンウィスキーの飲み方

ウイスキーには様々な飲み方があります。バーボンウイスキーだからといって飲み方が決まっているわけではありません。バーボンウイスキーの香りや味わいを楽しみたいなら「ストレート」、アルコール度数を低くしたいなら「ハーフロック」や「ハイボール」など、自分のスタイルやその時々に合わせた飲み方が出来るのがウイスキーの良い所です。

ここからはバーボンウイスキーの飲み方を紹介していきますので、自分に合った飲み方を探してみてくださいね。

じっくり味わうなら「ストレート」

バーボンウイスキーが持つ本来の風味と香りを楽しむなら「ストレート」がおすすめです。冷やすことで香りは薄くなってしまうので、香りをしっかり楽しむならストレートが最適。

ストレートはグラスにウイスキーを注ぐだけのシンプルな飲み方。シンプル・イズ・ベストという言葉通り、シンプルだからこそ、芳醇な香りや深い風味を味わうことができます。
チェイサーと交互に飲むと、口の中がリセットされ一口ごとにウイスキーの風味を楽しめます。

ジャック・ダニエルなどの飲みやすいバーボンウイスキーは、クセが少ないのでストレートがおすすめです。
ただ、ストレートはアルコール度数がとても高くなるので、お酒に弱い人やウイスキーを飲み慣れていない人には刺激が強く感じ、おいしいと感じられない事があります。そんな場合は水割りやハイボールなどから飲み始めていき、ウイスキーに慣れたらストレートにチャレンジしてみてくださいね。

一滴の水で香りが変わる

ウイスキーは一滴の水を加えるだけで香りが変わります。ウイスキーの香りの成分は、アルコール度数50%以上になると液体の底に集まる性質を持ちます。そこに水を一滴加えると香りの成分が水面に上がってくることで香りが変わり風味が増します。

ウイスキーの香りを楽しみたい場合は、「トワイスアップ」という飲み方がおすすめです。グラスにウイスキーを注ぎ、そこに常温の天然水を加えます。水の量は1:1が一般的。グラスを軽く回すだけで香りが立ち上ってきます。

味の変化を楽しむなら「オン・ザ・ロック」

「ロック」と呼ばれる飲み方ですが、「オン・ザ・ロック」が正式な呼び方です。バーボンウイスキーは、映画などの影響もあり、オン・ザ・ロックで飲むイメージが強いかもしれませんね。

オン・ザ・ロックは、グラスに大きな氷を入れ、そこにウイスキーを注ぎ、軽くマドラーで混ぜると完成です。最初の一口はウイスキーの濃厚な風味と香りが楽しむ事ができ、そこから少しずつ氷が溶けてウイスキーと混ざることで香りが変わり、一口ごとに違う風味を楽しめます。また、氷とグラスが音もオン・ザ・ロックの楽しみのひとつですね。

自宅でもバーのような透明な丸氷を作ることができます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ロックで少しきつければ「ハーフロック」

オン・ザ・ロックだとアルコール度数が高いなと思われた人におすすめの飲み方が「ハーフロック」です。ハーフロックはオン・ザ・ロックのスタイルの1種で、ウイスキーの香りと味をマイルドにした飲み方です。

グラスに大きな氷を入れ、そこにウイスキーを注ぎ、軽くマドラーで混ぜる所まではオン・ザ・ロックと同じですが、ここにウイスキーと同量の天然水を注いでマドラーで軽く混ぜるのがハーフロックです。天然水を加えるのでアルコール度数が下がり飲みやすくなります。

爽快感なら「ハイボール」

ウイスキーをカジュアルに楽しみたい、爽快感を楽しみたいなら「ハイボール」がおすすめ。ソーダ割りとも言います。すっかり定番の飲み方になったハイボールは、ウイスキーの味とコクを際立たせる飲み方です。爽やかな味わいのオールド・クロウは、ハイボールにすることで爽やかさが増すのでハイボールがおすすめです。

ハイボールはグラスに氷をたくさん入れて、ウイスキーを注ぎ、ソーダを加えます。マドラーで縦に1回混ぜて完成です。混ぜすぎると炭酸ガスが抜けてしまうので、1回だけ混ぜるのがポイントです。ソーダの量を調節することでアルコール度数を調節できるので、ウイスキーを飲み慣れていない人やお酒に弱い人にもおすすめです。

また、神戸には「神戸ハイボール」という氷なしのハイボールがあります。詳しくはこちらの記事をお読みください。

食中酒として飲むなら「水割り」

ウイスキーと料理を一緒に楽しみたい時は「水割り」がおすすめ。ストレートやオン・ザ・ロックはアルコール度数も高く、どちらかというと時間をかけてじっくり飲むスタイルなので、料理などとは合いづらいのですが、水割りは天然水を加えることでアルコール度数が下がり、ゴクゴク飲むことが出来るので料理と一緒に楽しむ食中酒に向いています。

グラスに氷をたくさん入れて、ウイスキーを注ぎます。マドラーでしっかりと混ぜ、ウイスキーを冷やします。溶けて減った氷を足し、天然水を加えマドラーで混ぜたら出来上がりです。天然水の量を自分の好みに調節することが出来るので、こちらもお酒に弱い人やウイスキーを飲み慣れていない人にもおすすめです。

ウイスキーだけで飲みにくい場合は「カクテル」

カクテルと言えばリキュールを思い浮かべる人も多いですが、バーボンウイスキーをベースにしたカクテルも多く、バーボンだけでは飲みづらい場合はカクテルがおすすめです。

バーボンが生まれたケンタッキー州の名前がついた「ケンタッキー」というカクテルは、バーボンにパイナップルジュースを加えたカクテルです。他にもライウイスキーをベースにスイートベルモットを加えた「マンハッタン」というカクテルはとても有名でカクテルの女王とも呼ばれています。

まとめ

バーボンウイスキーは、ケンタッキー州で連邦アルコール法に則って製造されたウイスキーで、アメリカン・ウイスキーの一種です。ウイスキー通が飲む高級なウイスキーというイメージが先行していますが、日本でもおなじみの銘柄が多く、比較的リーズナブルで質の良いウイスキーなので、実はとても気軽に飲むことが出来るウイスキーです。

他のウイスキーにも言えることですが、同じ銘柄でも熟成期間が長いものや原料が少し違うだけで、香りや味わいはまったく違うウイスキーになります。バーならワンショット(1杯)から飲むことが出来ますので、色々なバーボンウイスキーをぜひ味わってみてください。

岩田さんのお店情報

BAR岩田のウイスキー千夜一夜

初心者のためのBARノウハウ「BAR虎の巻」

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